惑星コーカサス

ドイツ語でFernwehという単語があって、意味は『まだ行ったことのない場所に感じるノスタルジー』らしい。他の言語で一言で訳せないんだって。なんと発音するのかはわからない。

わたしにとってのFernwehは、コーカサス地方である。アルメニアとかアゼルバイジャンとかグルジア、じゃないやジョージアとか。
セルゲイ・パラジャーノフとセルゲイ・ボドロフが影響大だけど(セルゲイという名前多いのかな)、そうやって勝手にノスタルジックなジャパニーズは多そうだ。

紛争地帯だしすぐロシアだし不穏な感じはするんだけど、めちゃくちゃファンタジックな伝統衣装や、ショボ目のモスク的建物(アゼルバイジャンイスラム教)、地味目で怖目なキリスト教の建物(アルメニア使徒教会とかグルジア正教会とかってなんとなくディープなイメージ)、結構美味しそうな見た感じトルコ料理に似てる雰囲気のご飯とか、魅力的。まずコーカサス山脈が異様に格好いいし。
それらは少しの本とウィキペディアの情報だけど。

アルメニアは『ざくろの色』の所為で、アルメニア絨毯と鶏&レースのイメージがわたしの中で根強いまま、あまり情報を更新出来ていない。アゼルバイジャンはなんとなく1番発展してそうなイメージでビールが美味しいらしいという噂。でもわたしが1番わくわくするのはジョージアだ。正直言ってグルジアの方が響きが格好いいんだけど、ジョージアが正しいので仕方ない。
ジョージアの首都はトビリシという日本人的には全然ピンと来ない所なんだけど、Googleストリートビューで所々探索することが出来る。いきなり建物の中の写真になってしまって街の外観がいまいちわからないのだけど(今はもっと見られるところが増えてるかも、最近見ていない)、カフェの感じなんかはとてもお洒落で居心地が良さそう。よくわからない公営っぽい建物は、西洋っぽいというかロシアっぽい装飾がある。薄黄色を内装に使うらへんがわたし的にロシアっぽいんだけど、それは間違っているのかもしれない。

キッカケはその昔愛する国立民族学博物館で見た、キルギスの婚礼衣装だった。トンガリ帽子の先っぽにベールがついていて、袖が武則天みたくなっているやつ。超イケてると思ったし、今でも詳細に図に描くことが出来る。
キルギスコーカサス地方ではないと思うんだけど、そこからわたしは『西アジアの宗教と文化』的な誰も借りなくて日に焼けまくりな本を図書館で借りて、『コーカサス』なる素敵な語感と出会ったのだった。でもその本は難しくてちっとも読めなかった気がする。

大学生にもなるとインターネットがあるので、コーカサス調べたい放題だ。英語で画像検索すると日本語でやるより色々得られた。大体は山の写真なんだけど、山腹の合間に銅色の井戸があって石の建物から鮮やかな赤色の布が舞っている写真とか、乾いた地面に椅子を置いて座っているお婆さんの写真とかもあって、それらに胸が熱くなりつつ根拠の無い郷愁を感じた。もともと修道院が好きだったし石の建物は好きなんだけど、そういうのとは規模とファブリックが違うし、食器の形状とかも微妙にエキゾチックでよい。
あとはやっぱり花嫁衣装が最強にイケている。男の人の伝統衣装はナウシカみたいすぎて短刀刺さっててちょっとキメ過ぎな気もするんだけど、女の人の上半身ピタっとして品のいい広がりのロング丈で黒髪を長い長い三つ編み二本にして、ロマンティックなレースを付けるの、とても素敵だと思う。(しかし最近の検索では三つ編みの人が出てこなくてアップにしている人も多いので、伝統的というより流行的なものなのかも。要調査です。)

さて近年ジョージアは大流行している。超流行ってますね。
グルジアンダンスの動画が結構話題になったし、伝統衣装を現代風にしたジョージアのファッションブランドがキッカケで、日本でも『ジョージアの衣装がまるでナウシカ』とか『まるでファンタジー』と言ってネットで話題になっていた。
友達と数年前に会った時、「わたし今グルジアが滅茶滅茶アツイんだよね」とグルジアンダンスの動画をいくつも見せてもらった(ちなみにグルジアンダンスは物凄い。剣とか跳躍とかかなり身体的にハイレベルで過激、かつエレガント。)
ジョージアを語る友達、なんかいいな。ジョージアは流行っているので、ジョージア料理も流行っているはず。東京はメガシティなんだから、どこかにちらほらジョージア料理の店は絶対にある。なんとなく高そうだけど、今度絶対行ってみようと思う。

上の友達は、次にあった時にはグルジアジョージアに訂正して話をしていて、いい人間だと思った。
余談で、わたしはトルコ料理も大好きだ。トルコ人のみの店でバイトをして、コックのアフメッツさんに「太らないと女に見えない」と言われて異常な量のアイラン(全く甘くないヨーグルトドリンク)と賄いの豆料理を毎日残さず食べるように言われそうしていた。わたしは日本人としては普通の体型だったのでちょっと大変だった。無味のヨーグルトは好きになったけど。
トルコはやっぱり地中海風味とヨーロッパ風味があるんだけど、きっとコーカサスでは少しロシア風味があるんじゃないかな。
トルコ料理屋で焼いていたエキメッキというトルコのナンみたいなパンが、どうもジョージア辺りでも似たもの作っているみたい。
ジョージア料理のレシピ本の出版を希望します。

今日はコーカサスの夢が見られますように。
とか言って、それより今日明日は天宮1号が大気圏再突入するところが本当に見たいです。で、その破片の落下位置はコーカサス地方が濃厚らしいよ。当たっても大丈夫みたいだけど、誰もぶつからないといいな。