MA VIE/LA VIE

父が学会で東京に来たので、土曜の昼前に上野で待ち合わせた。企画展を2つと、常設展を1つ見て、池袋で夫と落ち合い3人でビールを飲んだ。(正確には夫はコーラ)

松方コレクションは国立西洋美術館が所蔵してるんだし、そんなに大量の人が押し寄せて、ありがたがって見るものなのか、よくわからなかった。

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「もはや、平和〜ではないっ!」と歌いながら、スーパーのお弁当の袋をぶら下げて歩く。もはやっへいわーではないーっ、もはや平和ではない。

蝉が死んでいる。蝉爆弾と、それより沢山の蝉おせんべいを避けながらスキップをする。わたしは夏が好きなので、虫の気配と死の匂いは、怖いけれど目が反らせない。戦争の記憶と、今そこで死んでいる蝉と、生きて汗をかいているわたしは、多分夏には繋がることが出来る。半袖を着ると、リスカ跡が剥き出しになる。

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今年35歳になる。年相応に、白髪もシミもシワもある。子供みたいに生きていかれないものかしら。大人みたいに生きていかれるかしら。取り敢えず、死ぬタイミングは逃した。蝉だって脱け殻が1番怖くないでしょ。身が詰まってなくても、それは別に偽物ではない。

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氷食症とまではいかないけれど、氷を齧るのが好きだ。喉が乾くと眠れないので、寝る前に製氷皿から氷を1つ取り出して、口に放り込む。頬にひっつく少しの不快は、しかしすぐに溶けて無くなる。冷たく、透明で、消えて無くなる氷は、正しさを携えているように感じる。

口に氷を含んで横になる時間は、その気温が30度以上ある熱帯夜は、目が冴えて眠りたくない気持ちがする。散歩にでも行きたい気分。それでも睡眠薬を飲んでいるので眠くなって寝てしまう。夏の夜と氷は好きだ。

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スパニッシュ・アパートメント』『ロシアン・ドールズ』『ニューヨークのパリジャン』の三部作をみた。主人公のグザヴィエは小説家で、ノートパソコンでMA VIEとタイトルを打った後、LA VIEと打ち直した。誰の人生だろう、とにかくとても映画だと思った。

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駅前で走る巨大ネズミをみた。椋鳥がギュルギュルギャーピーギョリリリと喧しい。人間は無口に階段を上る。

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自宅のそばから、花火が見えた。