魔女とサボテン

母は昔から「急がば回れ」が大好きだ。母の「急がば回れ」と父の「他力本願」が実家の家訓。

ノロい妹や負けず嫌いのわたしに向かって、母は「よそはよそ、うちはうち。急がば回れや。」と“口を酸っぱくして”仰ってました。

母は「継続は力なり」も好きだし、横着せずにコツコツやらなあかんよ、という教えで、全くもって正しいんだけど、「急がば回れ」は言われすぎて、もう今では笑ってしまう。


昔、酔って話したオーラが見えるという謎なオバサンに「超大器晩成型」と言われた。詳しくは「60位までずっと貧乏でパッとしないけど、老人になってから才能が開花する」らしい。何をもって老人からいきなり成功するのか謎だけど、とりあえず還暦まで頑張って持ち堪えた方が良さそう。

それとは別口の、やはりオーラが見えるという自衛隊予備隊員の胡散臭いオジサンからは、「空飛ぶカエルと飛行機と毘沙門天の黄色いモヤが見える」と言われてかなり不可解だった。空飛ぶカエル、、、。とにかく世の中にはオーラが見える人が大量にいるんだと思う。


さてまだまだ晩成まで遠く、横着しまくりのわたしは、先日サボテンの植え替えを素手でやって、手がピリピリしまくって参りました。

ネットによると100均で買ったそのサボテンには産毛のような棘が無数にあって、素手で触ると無数に刺さって手が痺れるらしい。絶対的にこの状態で間違いないと思えた。頭の中で母の声がする。急がば回れや。こういう時あの人は、なんかニヤニヤするのよね。

終わったことは仕方ないし、刺さったものは抜くしかない。ガムテープで地道にペタペタやって、2日くらいハンドクリーム塗って我慢していたらどうもなくなった。


いくら金欠でも母の日は外せない。夫のお母さんとわたしの母にそれぞれお花を注文した。普通にカーネーション。実家の猫も年老いたので、もうお花を食べ散らかしたりしないんだって。

母は年季の入ったガーデニングババアだけど、わたしは植物が育てられないので、手をピリピリさせつつも例のサボテンをなんとか生かしたいと思う。軍手買おう。

お花好きのオババは近いうちに魔女になりたいらしいんだけど、オーラは見えないみたい。わたしはオーラが見えると思ったことがあるけど、物の補色が見えてるだけだった。

未だに疲れたりするとよく補色は見えて、そんなわけで色相環なんて覚えてないけど補色は直感的にわかるので、絵の具を汚く濁らせたい時にはやや役に立ちます。つまりあまり役に立たない。


今朝カーテンを開けると、サボテンから新しい突起が生えていて可愛かったです。

速攻水とかやりたくなるんだけど、急がば回れなんでしょう。