夏の救済

起きるとまだ朝で、外は晴れている。青いギンガムチェックのクロスがかかった食卓の脇にある、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。コーヒーが出来るまでの間、換気扇を回して煙草を吸っていると、わたしは人生を謳歌していると思った。

 

最初に生活にテーブルクロスを取り入れた時、これは救済だと感じた。花柄や重い色は、小さな机には窮屈で、青のギンガムチェックと水色のインド綿だけ、夏に使う。冬の間は、木目のまま透明のビニールだけかけている。

エスパー(夫)はそういう「いとをかし」的感覚を、室内の様子については持ち合わせておらず、別にあってもなくてもいいようである。好きに出来て助かる。

 

来年の夏までに引っ越しを考えている。

少し高い家賃を払ってでも、少し広い部屋に住みたいという簡単な話で、他に理由はない。(広い部屋を希望する理由は沢山あるが、今の部屋に居たって死ぬ訳ではない。)

こういった野望があるから、人生は面倒になってくるし、人間にうんざりなのは間違いない。けれど、いやらしい人間味モロ出しで、生活というものに多少の欲を雑えていっても、仕方ないかと思えて来た。別に清貧を心がけているわけでなし、そもそもが俗っぽい人間なんだし。

金持ちになりてえな。