absolutely,yes!

夫の妹が恵比寿に住んでいるが、キッチンの棚の天板が剥げてきたのでタイルを貼りたいという話をすると、「恵比寿にはタイル屋さんとインテリア雑貨屋さんがあり、タピオカがあり、彼氏の美容院があるから髪も切れる」との旨を言われ、彼女ともうひとつ下の妹と三人で、その日は恵比寿の上の妹の家を中心に、下の妹が美容院でモテ髪ロングになるまで、周辺を案内してもらった。

モテ髪と入れ替りで私も切ってもらう。本当は短めの黒髪ボブにパーマを当ててほしかったのだけど、髪が傷みきっていて無理だと言われて、ショートヘアにすることにした。ショートヘアにすること以外は妹氏の彼氏さんにお任せしたけど、なかなか素敵にしてくれてとても嬉しかった。美容師という人達は凄いといつも思う。

徒歩と電車しか移動手段を持たない者にとって、15センチ四方のタイルシートを18枚と目地の網、1メートル×1.8メートルのフロアマットを担いで、恵比寿から埼玉に帰るところがDIYのハイライトである。私は古風なので、出来るだけ現物を見て買いたい。タイルシートというものは大体1枚880円くらいは取られるのだが、お店に出向いた甲斐があって、特価品で揃えることが出来た。本当はライトグレー一色で考えていたけど、特価品なので店にある枚数しか無く、全面を覆える量の残っている色はなかった。貼る色合いに計画が必要だけど、こうなればフィーリングである。5種のタイルをある分ずつ、枚数の内訳がまばらになる様に買った。

上の妹が一緒にいて意見してくれたおかげで買い物が早くまとまって、とても助かった。

色々、目地の幅がタイルによって違うとか衝撃の事実を、会計時に工藤静香ばりの前髪の店員さんに言われたが、綿密に計算しても意味不明になるだけだったので、翌日やりながら決めた。最終的には全ては気分次第。私の人生みたい。私は天才なので、タイルは絶妙の均衡で配置することが出来た。

実際にはタイルを貼るよりも、玄関にフロアマットを敷く方が大変だった。まず賃貸なのでもともとのフロアマットを傷つけてはならない。養生テープの上に両面テープを貼りマットを敷く。ちゃちいカッターナイフは直ぐに刃が鈍って、上手くできなかった。カッターナイフのせいにしたけど、私はこの手の作業が不得意だ。余りのマットを妹ちゃんにあげたかったんだけど、失敗しまくって余らなかった。横着な性格が嫌になる。

夫は、私が忙しなく作業して我々の住処を魔改造している間、平和に眠っていた。陽光がカーテンの隙間から差し込み、寝室の畳を照らす。作業の合間に洗濯物を寝室で干していたけど、彼の顔に光の筋が当たって、綺麗だった。綺麗な寝顔に向かって『あと2時間起きるな』と唱えて、ずれた布団を直して、遠景から寝ている夫の写真を撮った。なんでって好きだからで、可愛いからです。集めてるんです。


結局、玄関と棚の天板だけ手直しするつもりが、TOKYO STYLEのページを頭でめくりながら、籠にドライフラワーを詰めたり、ニトリでマグカップツリーやテーブルライトを買ったり、それによりコーヒーメーカーの配置替えや食器棚の整理をしたり、トイレに本棚を作ったり、リビングの机の向きを変えたり、他にも何かしたと思うが記憶にない。鬱々としていた間には気が付きもしなかった、排気口の埃や浴室のドアのカビとか、そういうものの掃除もして、部屋は衛生的にはなったが、物は確実に増えた。躁的といえばそりゃそうなんだけど、生きているという気がする。楽しい。私も軟着陸すれば良いけど、また鬱になるという恐ろしい可能性もパターンとしては大いにあり得るので、期限付きの元気なのではないかという一抹の不安と、それに基づき『今のうちにやっとかないと後悔する』という焦燥感があるので、何でも買って作って出かけて見て喋っている。夫は家計が転覆するほどお金を使ってるわけじゃないし、今は今で楽しくやればいいじゃない、と言って一緒にカラオケに行ったりしてくれる。

食欲が凄まじく、かなり食べている。また美味しいものが食べたく、自炊している。1年ぶりの料理は、私は天才なので、勿論美味しくまとまった。いつぶりかもわからない久しぶりのお弁当は、職場の昼休みに非常に誇らしかった。


したいことが多く、時間が足りないです。第三次世界大戦の茶番を祝して、やはり死にたいとは思うけど、とにかく些末なことに気を取られて忙しい。馬鹿にされているという怒りを感じながら、止まらない身体と纏まらない考えの乖離をなんとか抑えつつ、しかしまだ体力に余裕がある。先月の私が見たら、ムカつく死ねと思いそうだけど、私は今人生で1番幸せです。