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 職場に感染者が出た。昨晩中に消毒が済み、同じフロアでも濃厚接触者でない限りは翌日は普通の出勤のようだった。感染者が出ると偉い人は朝礼でちょっとした演説をする。曰く、「私たちはエッセンシャルワーカーです。」と言うもの。聞くに耐えないので、今日は欠勤した。電話に出た社員には、眩暈が止まらないので、と伝えた。私が眩暈を使うのは二度目なので、ある程度信憑性があると思う。実際に眩暈がすることも稀にあるし。

 休んでテレビを観ていると、オリンピックの走り幅跳びをやっている。消音にしてしばらく観ていた。私はスポーツに励まされたことはない。オリンピックは率直に言って関心が無かった。日本人がメダルを取ることを、その個人や団体と関係のない人がなぜ嬉しいのかもよくわからない。そういう元々のスタンスの上に、新型コロナウイルスである。オリンピックを支持できる要素は何もなかった。こういう人を反日と言ったり非国民と言ったりするらしい。本意でも不本意でもないけれど、上級国民よりは非国民の方がアナーキーな気はする。

 一年以上前から散々に批判されている大会に参加するオリンピック選手の気持ちはさっぱりわからないが、彼らもそれでお金を稼いでいるわけだから仕方がないのかも知れない。個人的に感動を与える云々というのは、本当は誰もそんなことを気にするべきではないし、実際にそんなに気にしていないと思う。

 新型コロナウイルスのワクチンを一回接種した。夫は自治体の接種になるが、予約受付自体が9月に入ってからだそうだ。モデルナのワクチンは不足しているという話だが、私の勤める悪の巨大組織な会社には、何だか沢山あるんだと聞いた。何事も、あるところにはあると言うことか。よくわからない。

 ワクチン接種会場までの池袋の市街地の道のりは、ものすごい人混みと熱気で、翌日ニュースでその近辺の地面が暑さで陥没したと言っていた。南池袋の職場のビルから東池袋の会場まで歩いていると、潰れると言う話の東急ハンズの前で、女子高生がアイスを食べていた。唐突に平和な光景で虚をつかれる。アイスを食べていない子は黒いマスクをしていた。壁に靴底を当てて、足を上げている彼女らのスカートのひだが広がって、棒のアイスを振り回しながら楽しそうだった。ワクチンを打った次の日は特に何もなかったので仕事に行った。職場は消防署が近く、朝から晩まで救急車のサイレンが響いている。換気で窓を開けているのでよく聞こえる。サイレンは心臓がそわそわする。このままだと気が触れてしまいそうと思うのは、とても正常に思える。この世の中でまともでいたいかと聞かれると、ちょっと微妙。