39光年の孤独

少し前のNASAのニュースで、地球と似た大きさの惑星が7つ見つかったと知った。39光年(だっけ)先の話で、その内3つは水のある惑星らしい。

 

だいぶ体調を持ち直していて、かなり生活の支障が軽減されている。夫は、わたしの具合の悪さに全く動揺せず、変に特別扱いしないのが凄くいい。それでも薬局に迎えにきてくれたり、牛丼を買って帰ってくれたり、それらは具合が良くてもしてくれるんだけど、でもわたしは愛を感じましたし、心強く思いました。

夫は割と感情的で落ち着きがないと思うけど、なんだかマクロではひょうひょうとしている。謎に順応能力が高くて、わたしがしっちゃかめっちゃかに設えた住環境や、急降下する気圧や、いきなりの夜勤、無愛想になってる妻などにもいつも通りである。体も代謝がよくて、脂肪がなくて、彼が健康じゃない姿は、ノロウイルスの時くらいしか見ていない。心身のバランス感覚が優れていると思う。

 

水のある惑星のことを考える。きっと宇宙人がいるだろう。

宇宙人は宇宙船に乗って、39光年を越えて、地球にやってくるかもしれない。そうなった時は、夫が狙われると確信している。宇宙船の下から妖しい光線が出て、帰り道の夫が拉致されるに決まっている。彼はどうするだろう。

調子が悪い時、こんなことばかり考えていた。水のある惑星のことを考えるのは、テーブルクロスが救済であるのと同じ種類の、自家培養の精神安定剤である。

 

何故妄想で離れ離れになるのかというと、長澤まさみ高橋一生の、宇宙飛行士の妻が宇宙船でiPadみたいなので、日本のマンションの夫と同じ映画を観るっていう、月額いくらの動画サイトのCMの影響である。

この妄想には重大な続きがあって、すっかり水のある惑星と宇宙人に馴染んだ夫が、宇宙人達と宇宙船に乗ってわたしを迎えにきてくれるのだ。

夫にこの事を話したら『えーなんでー俺だけー?』と言っていたけど、彼はきっと迎えにきてくれると思う。すごく幸福な想像なんだよ。

 

ある程度元気になったら水のある惑星云々の本気の願望度合は低下して、しつこく妄想しなくなった。わたしは現金で面倒で、ややこし星系のこじらせ星人だから。

 

先日夫は、新しいTシャツを買った。紺地に、白字で大きくJAXAと書かれている。本当にとてもよく似合う。

NASAもあったんだけど、JAXAの方がいいんだそうです。宇宙エレベーターが出来るまでに、宝くじを当てないといけないね。