25時のミシン

わたしは有言実行パーソンなので、夫を連れ出してIKEAに行った。

夫が早い段階で飽き始めて、禅僧みたいに無に近づいていたので、わたしなりに手短かに済ませました。ちゃんと買いたい物は決めていたし。


先日、洗いかごに食器を無計画に積み上げまくり、崩壊させてガラスのコップを数個割ってしまった。その数個は我が家にとってのほとんどなので、ガラスのコップを買う。6個で450円のやつ。これには夫も納得の表情。

洗濯バサミがくっついているハンガーと、クッションカバーを袋に入れたあたりで、彼の心が宇宙に飛んで行ったのが目視出来た。人混みを早足ですり抜けて大本命のカーテン・ファブリックのコーナーに赴く。もうすぐ終わるから、一旦地球に降りて来て。


欲しかった布は欠番だった。既成のカーテンも安くて、目当ての柄じゃないにしても可愛かったので、作るより楽だなと思ったけど、ファブリックコーナーの隅にハギレが売られていて気を取り直す。

ハギレを2種類買った。これでお仕舞い。

パンダのぬいぐるみとか、柄付きのジップロックとか横目で見つめつつレジに向かう。あとソフトクリームとか。


帰還してラーメンが食べたい夫とラーメンを食べて、わたしの自治州(家)に帰った。

宇宙からの移民は何故か思い立って、コナンの映画のレイトショーを観に自転車で出かけた。わたしは床に布を広げて切り、キッチンのカーテンを作った。


手芸には落ち着くという要素が最重要なんだけど、横着の王なのでガンガン行く。ガンガン行けない行程は省略する。地直し、アイロン、採寸とかを無視してミシンをかけた。

当たり前だけど失敗する。2枚を継いで作ったけど、なんか模様が斜めになった。上のギャザー部分は直すのが大変なので、継いだところを解いてやり直した。

ステッチもかけたので、地味にめんどくさい。毎度のことだけど自分の横着を呪う。

でも完璧にやる前提だとハードルが高くなって多分やらなくなる。なので失敗が見えていても、やらないよりは、ガサツで無計画にでもやっちゃう方がいいやと思っている。2番目にいいってやつ。


さて上部から柄がずれているので、継ぎ目を縫い直した所で、まだまだずれている。でも多少マシかな。後から気になってアイロンもかけた。こんなことなら最初にかけておけばいいんだけど、とりあえず後からでもかけないよりはかけた方が良い。2番目にいい。

アイロン台を持っていないので100均の耐熱シートみたいなものを敷いてやるけど、我ながら危なっかしい。夫には形状記憶シャツを推奨していて、シワ取りミストで全て解決しているので、アイロンの箱は埃を被っていました。


グレーの軸模様みたいなのと、黄色のデカくて雑なタンポポみたいな花柄を3対7で繋げたカーテンが出来た。横幅がギリギリで、まず布を買う所からいかに無計画だったか思い知る。ギャザー寄せたら縮むのは、そらそうだな。

夫がレイトショーから帰ってきて、コナンの今作が素晴らしかった話を聞く。彼はカーテンについて「夏っぽくていいじゃない」と言った。君がいいならいい。ここは自治州だから。


深夜に思い立って、カーテンをまとめる用のやつ(あれなんて言う名前なんだろう)もガーっと作った。

夜更かしの宇宙人はまだコナンに夢中だ。

自作のカーテンと、とりあえず並べてある新しいガラスのコップを眺めて、明日は林檎が食べたいと考えた。

こんな風にいつまで生きられるだろうと思うけど、今だけ生きていくのは、生きないよりはいい。2番目にいいくらいが好きよ。