暖色、明度3

日光が暖かい。家が好きだ。
今の部屋の長所は、陽当たりがいいことだと思う。周りは畑で遮るものもないし、角部屋なので出窓がある。
ケチらずにレースカーテンを付けたのは正解だった。

日曜日の午前中、夫がまだ寝ている隣の部屋で、ソファに座ってコーヒーを飲む。
換気扇の音とまだ半分しか開かない目と冷たくなっていくコーヒーと苦い口の中で、午前中に起きられた喜びを噛みしめる。
夫の寝ているベッドの横には本棚が並べられているが、二箇所くらい穴あきになっている。その分の文庫本が、コーヒーを置いている向こう側に見える。彼が昨夜何を読んでいたのか、カバーでわからない。

起きたらやりたいことがあったはずだけど、ソファで寝っ転がるとどうでもよくなる。
テレビを点けるのもなんか嫌。
食材は何もないし、後で夫に買いに行ってもらおう。このまま寝てしまったら、元も子もないないなぁ。

ニトリの家具に囲まれながら、夏を思い出す。去年は雨ばっかりだった。
少し、歳をとるのが悲しいような気がする。シミ取りしたい。ほんとはしたくない。


気がつけば、午前中はほぼ終わってしまった。
午後はどうしよう。陽光に踊る埃が見える。晴れて何もない日曜日の居間は、閉鎖病棟のデイルームみたいに、停滞している。このまま留まり続けて、月曜日が来ないといいけど。

 

夫は15時くらいまで寝ててもいいと思っていたけど、正午には叩き起こしたい気持ちがしてきた。彼も明るい部屋でコーヒーが飲みたいかもしれないし。それに散歩に行きたくなるかも。
散歩に行くなら、夕飯の買い物頼みたいんだよね。

なんだか部屋に植物が欲しくなるのは、春が来たからかもしれない。